ローグワン スターウォーズスト-リー(超ネタバレ)
「ローグワン」 ギャレス・エドワーズ監督(超ネタバレ)
ネ
タ
バ
レ
で
す
よ
緩
衝
壁
スターウォーズ3.9とタイトル入れるのが正しい「エピソード4」の10分前までに繋がるスピンオフ映画。
何だかなあと思ったのは「シン・ゴジラ」と一緒。 監督がマニア側の人間なので、オタク的な目配せは仕込めても肝心な物語がまるで出来ていない。(意図的に人間ドラマを入れなかった? 人並みに描いてから言ってください)
主役は女性という、EP7の情報が出る前に制作開始されたので、ネタかぶりしたのが惜しまれる。
構想は悪くない。スターウォーズ正伝が生まれついての運命を背負った英雄伝に対し、こちらは熱意しかない民間人のお話というコンセプトは素晴らしい。 EP7が無かったらルークに対するジンというヒロイン像がもっと引き立っていたかも知れない。
冒頭からいきなり駄目で、母親が突然戻ってきて父親の計画を台無しにしてしまう、しかも娘を助けることに繋がっていない。
「馬鹿な行動に見えても思慮深い」シナリオだから意味があるのに、ストーリーを進ませるだけのシークエンスで初っぱなからがっかり感が増してくる。
その後のソウ・ゲレラとの繋がりも「血の繋がっていない深い愛情がありますよ」と言い張ってるだけで、どうやって育てて、どこで別れざるを得なくて、何故帝国軍に収監されたかが描かれていない。そこは主人公を観客に納得させるところで削っちゃ駄目なとこでしょ。
帝国軍のパイロットが何故裏切ったとかとか、盲目の戦士が特に説明も無く普通に人捜ししてるとか、完成してるのに無意味な暗殺計画を進行させて反乱軍のヒーロー性が台無しとか、不備を上げたら切りが無い。 父親の最後の願いである「デス・スターの意図的な弱点」も、そこまでやれるなら、うっかり事故のふりして破壊工作すればやればいいじゃん。とパーツの組み方がまるでなってない。
新ドロイドのK-2SOも「人を殺してはいけない制御装置が無い」ところが肝心なのに中盤で銃を撃ち台無し。
盲目のチアルートが敵中突破する場面も、「フォースを信じていたが、すでに自信に宿り備わっていた」なのか「ただのバカ」なのかが分からない。
主人公が父の言葉を信じることで、大逆転につなげるべきところなのだが、途中でぺらぺらホログラムで意図を喋っているので、父娘のと関連性が無い。スターダストという宝探しキーワードで観客をあっと驚かせる、どんでん返しは出来たはず。
不満はあるが、ダース・ベイダー登場からのアクションパートは「ファンの見たかった物」なので申しぶん無い。 「大きな犠牲を払ったデス・スター設計図」との台詞にもきれいに繋がる。
デススタービームの前になすすべくことも無く散っていく主人公は、ギャレス監督の核戦争に対する思いの詰まった(広島原爆投下の再現映像も作っている)いいシーンだと思うのだが、「俺がいなくても作れると思い込んだ父ちゃんの仕業」と思うと、びみょーな感じになる。
ファンに目配せも大切だが、映画として穴だらけなのを「オタクムービーでしょ」で済ませることには納得出来ない。
個人的には、新映像のダース・ベイダーが出てくる前に、日本語版の大平透氏が亡くなられたことが、残念としか言い様がない。キャラクターが引き継がれ、新たなダースベイダー俳優が生まれたことに祝福を。
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