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バットマンvsスーパーマン(超ネタバレ)

「バットマンvスーパーマン」ザック・スナイダー監督

 前作に当たる「マンオブスティール」が正直好きにはなりませんでした。 スーパーマンの骨格部分である「正義」の部分が抜け落ちて、異星人の内紛に巻き込まれているだけの意味の無いシナリオでした。 
 「マンオブ」のアクションカットで壊されるシーンを見るたびに「その下で人が死んでるだろうに、どうでもいい良いことを描きすぎ」と思ってました。

 そんながっかりが!
そんなうんざりが!
 倍返しのエンタテインメントで帰ってきたのがBvS!
キャラクターものは歴史物と同じで、時代背景をどれだけ勉強してるかが、楽しめるかどうかの境目なのですが、今回は一見さん徹底的に置いてけぼりにしてるので、「ヒーローに興味が無い人には全く面白くない映画」だと断言しておきます。
 今回は女性キャラも良いのがありますので、「マッドマックス怒りのデスロード」好きな人にもおすすめ。

 以下ネタバレ注意

 冒頭、いきなり「マンオブ」でビルの倒壊に巻き込まれるブルース・ウェインから始まるので、これだけでもう安心。

 「バットマンビギンズ」では「人間は、その行動によって決定づけられる」というテーマで、大富豪が手のつけられない暴力に直接対峙する物語を描いています。
「BvS」では、「ヒーローのいる世界では、得体の知れない超人の善意を信じなければならない」というテーマで切り込んでいて、スーパーマンを疎ましく思う人間が巧妙に抹殺をはかるというのが今回のお話。

 ある将軍を取材に来たロイス・レーンをスーパーマンが助けに来るというのが冒頭。この時のドサクサで将軍が殺害されてしまったので混乱が広がり何万人も死ぬことになり、「安直な正義行使の結果に、責任を取らないスーパーマン」という空気が生まれてきます。

 言うまでも無く、対イラク戦争のアメリカに対する皮肉です。

 ブルース・ウェインはその被害に遭った側で憎悪感からアンチスーパーマンになっていくのはそのまんま。 この辺のヒーローものに政治的ポリシーを混ぜ込む作風は好みの分かれるとこでしょう。

 善悪グダグダになっていきますが、ヒーローに立ち返る行動転換点に「父と母」が用意されています。 クラーク・ケント(スーパーマン)は育ての父の「自 分の力を善に使え」という遺言に従い、ブルース・ウェインは弾丸一発で偉大なる父を失ったことから悪を憎む「反暴力のための暴力」となるのが出発点。

 スーパーマンは育ての母を人質に取られてバットマンとの対決に誘導されます。スーパーマンは根が善人なので「バットマンなら説明すれば分かってもらえる」と信じていますが、連鎖する憎悪に巻き込まれたバットマンは言うこと聴きはしない。

 そのバットマンを正気に戻させたのが双方の母親が「マーサ」だったという共通点。 ネットは安直すぎるという批判の対象になっていますが、「死んだ母が バットマンを憎悪から戻ってこさせる」のとバットマンが「異星人であるスーパーマンを信用する(直属でも無いのに家族愛を持ち合わせている)」トリガーに なっているので、幼稚な動機とみる観客が多いのは実に残念。

 アメコミファンならドゥームズデイの登場でおおっ!となります。無敵のヒーローをガチで葬った悪役で、スーパーマンの死から復活までが一大イベントとなりました。

 クライマックスで、毎度おなじみVFXインフレバトルが始まりますが、途中さんざんネタフリをしてついに出てくるのが、ワンダーウーマン!
 往年の「マジンガーZ対暗黒大将軍」のグレートマジンガーポジションで、ついにスーパーヒロインのスクリーンデビューに全世界歓喜となる筈なのですが、予告で姿を見せているのでサプライズになりゃーしない。
 異星人、人間、地球の神の子という三人がそろい踏みして、バットマンとスーパーマンが互いに「おまえの仲間だろ」というのが笑いどころにみんな気がついていなーい!!
 そこシナリオライターの価値が1億円ぐらい変わる台詞だから!!

 ヒーロー文脈が分かる人でないと楽しめないかもしれませんが、ベン・アフレックのブルース・ウェイン見るだけでも価値があるので、新旧役者のファンも是非。

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