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私の優しくない先輩

 これは面白かった。

 ドラマでは「テレビ小説」というジャンルがあります。これは小説調に作者の心情をナレーションが読み上げたりするので、映像表現に命をかける映像屋にとっては、少々物足りないやり方と言えます。
 この「テレビ小説」をアニメの世界に持ち込んだのが「涼宮ハルヒの憂鬱」で、ともかくダイアローグが、延々画像にかぶるスタイルを確立したのではないかと思います。

 この「優しくない先輩」もラノベの実写化アプローチとして、あえて主人公のダイアローグをかぶせるやり方を取っています。
 役者の芝居が平坦になってしまうので、賛否はあるでしょうが、ジャズ音楽の裏拍みたいなもので、「画像に写っているもの」と「同時進行の感情の乖離」みたいなものが上手く表現されているので、見ていて飽きない。 大変楽しく鑑賞させていただきました。

 ここからネタバレあるので注意



 不満もあります。
物語のクライマックスとしては「ウザい先輩」が実は早くから主人公の事に気がついていて、いやがられるのを承知で手助けしようとした。というのがターンポイントなのですが、心臓病抱えている患者を振り回したりと、どう見ても配慮のない行動でしかないので、クライマックスの説得力が欠けてしまう。

 主人公があこがれるイケメン先輩愛治も、唐突な心境変化でいなくなるのも、どこか不自然な感じがするし、告白のシーンで、愛治に幻滅しているのに最後の台詞で「大大大好き」と言わせたら、この主人公はよほど記憶力の足らないヤツになってしまう。

 心情面が主に台詞頼みとするなら、もっと意味合いの強い芝居がほしかったところ。

 ラストのダンスシーンは、主人公が死んだ後の世界(っぽい)ので、両親と会うときにちょっと躊躇するところに、ほろりと来る。
 目新しい表現が必ずしもうまくいってるとは限らないが、映画とは常識の通用しない無茶苦茶な世界なので、色々な手法をひっさげて乱入してくることは、歓迎するべきなのではないかと思います。

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