スカイ・クロラ(ネタバレ危険)
「スカイ・クロラはアクションがほとんどで、誰もが楽しめる作品です、今度のオシイは良いオシイ」
という話を聞いていたので、今夏アニメの期待作だったのですが、結局いつもの押井氏の映画という感じでした。
永遠に成長しない子供同士が、代理戦争をやっている世界の物語なのですが、正直その価値観は見いだせません。
「子供であること」の不条理がまるでクローズアップされていないので、オタク向けのパッケージとして「絵」が欲しいだけなのか という印象しかないのです。
これが子供の姿をしたテロリストが大人の中で何か始めるという、「大人と子供の価値観の逆転」みたいな怖さがあればいいのですが、そういった比較は全くありません。「自称子供」なキャラクターが煙草すったり、セックスしたりしても、「本当はオトナなんですよー」のロジックが有る故に、全く意味が無いのです。
アクションシーンだけ切り取るなら、描写力の緻密さは群を抜いていて、大画面で見るにふさわしい空戦が展開されているので、『スカイ・クロラ』は足を運ぶだけの勝ちのある映画です。
押井氏は「うちに帰って一人でハードディスクにため込んだアニメーションを見るだけが生きがいって、それで本当にいいのかって」という発言をしたそうですが、これをそのまま受け取るなら、本作はそういう 映像見ることが至上の価値観である人間しか、相手にしてもらえないような作品だと私は思います。
針小棒大に誉める表記上のライターのテクニックに、作家自身が踊らされてるような気がするぐらい、中身が薄っぺらいものに見えました。
「自分が死んでも代わりがいるから」
というオチは、『新世紀エヴァンゲリオン』で十数年前にやったネタで、これをラストに持ってこられても、もうひたすらモニョるしか無いのです。見に来るであろうアニメファン向けに作ったのなら、ものすごくズレたことをやってるので、早い段階で脚本精査は行うべきであった。 というのが、私の考えです。
これを若者に見て貰いたいというのは「リセット世代」の肯定なんでしょうか??
『スカイ・クロラ』は、その空戦シーンを観て、どこまでがリアルで、どこまでが架空であるかを検証するようなアニメ映像バカこそが、本当に愛すべき人達ではないのでしょうか。
空虚な世界で自称リアルな何かが行われている。というのを押井芸として、理解してる人はなんら不満がないと思いますが、説明不足を鼻でせせら笑うような自称映画通には通用しない内容だと思います。
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